◆今回の作品について

「全ての女性に、優しい死という救済(メサイア)を__。」
私たちはメサイア・カーミラに先立つ前作で、フェミニズムを題材にした「Femiking」を上演した。その中でフェミニズムを学び、現在女性が大変悲惨な状況にあることを知った。
男女の経済格差、コロナの影響も受け、女性が望まぬ性風俗に身を落とす事例も増えている。もしも男女の経済格差がなかったら、本当に風俗で働きたい人間などいるだろうか。法律上は挿入が禁止されているはずのAVでは、当たり前のように本番行為が行われており、それ以上の言語を絶するほどの恐ろしい行為、人の尊厳を踏みにじる行為が撮影された動画も出回っている。
フェミサイドも後を絶たない。小田急線では幸せそうな女性を狙った傷害事件もあったし、デリヘルの女性がホテルで客の男性に殺される事件もあった。世界中でフェミサイドは後を絶たない。
昨今では受験生を狙った痴漢も話題となった。私たちは演劇界のハラスメントをなくす会の支援も行っているが、その相談もたえることはなく、表に出ることのない泣き寝入りとなった被害を思うとき、怒りを禁じえない。
前作「Femiking」に出演した女性劇団員が、正月に実家に帰省した際、座って料理を待つ男たちを前に、酌をしお節を用意する親戚の女性を見て、愕然としたという話があった。
人間の半分である女性に対して、これほど悲惨な現状があるにも関わらず、日本ではそれほど差別が問題視されているとは思えない。夫婦別姓でさえ全く実現されない、結婚しパスポートの名前を変更する時には数千円の負担さえ強いられる。むしろ不況の中で、家庭への負担は増大し、女性差別は拡大しているとも言える。インターネットなどにおけるバックラッシュは目も当てられない。
メサイア・カーミラで描くのは、フェミニズムにおける差別の「実害」であり、その実害の中で世界を呪いながら死んでいく女の看取りである。イエス・キリストも、仏陀も、世界中の多くの救世主は男であるが、トレメンドスの救世主は男ではない、女である。この物語は、全ての女の救済者である「カーミラ」が全ての女を救い、絶望の中死にいく女たちと共に泣き、叫び、大丈夫だ、安心しろと強く抱きしめる物語である。
このくそくらえな世の中に、カーミラは救いなど求めない。一度死に、優しく暖かい生と死の中間の存在として復活し、病も老いも、ルッキズムもエイジズムもセクシズムもない、女だけの楽園で幸せに暮らすことをカーミラは提唱する。
「全ての女性に、優しい死という救済(メサイア)を__。」
本作のテーマは「全ての女性への真なる応援」である。

◆当事者の表象について
上記にもあるように、今回の作品は「全ての女性への真なる応援」の作品なので劇中沢山の女性が出てきて連帯してゆきます。作品を制作する中で、現代フェミニズムを中心として扱っていく中で女性、当事者としてのトランスジェンダー女性の存在を無視して、作品を進めることは出来ないと改めて感じ今回緊急でオーディションを開催しています。

劇団の大きな使命の一つに「ジェンダーフリーな社会の実現」「当事者の表象を大切にすること」があります。当事者が演じることによって正しい当事者像を伝えることができる、まず「トランスジェンダー女性は女性である」、当たり前のことを当たり前の事として当事者の表象を大切にし、今回の作品に取り組みたいと思います。

またこれをきっかけとして、フェミニストによるトランスジェンダー女性差別、ヘテロ男性がゲイセクシャルについての作品を上演すること。様々な作品に対してLGBTq、ジェンダー、人種、障害についてまず「当事者性が第一である」という視点の欠けた作品がこれ以上生まれないこと、演出家、キャスティングプロデューサー、関わる全てのクリエイターのジェンダー概念のアップデートを求めます。

話が逸れてしまいましたが、世の中には沢山のトランスジェンダー俳優がいると思うのです。今回はMtFの俳優を募集していますが、年内別の公演でFtM、MtF問わないトランスジェンダー俳優の募集を行っています。気になった方はそちらも併せてご覧ください。【http://tremendous.jp/info/femiking2022t/
両公演共にたくさんの素敵な俳優さんと出会える事を心より楽しみにしております。

■公演概要
タイトル/メサイア・カーミラ
原作/シェリダン・レ・ファニュ「カーミラ」
脚本/田中円
演出/田中円 知乃
音楽/Dee Lee
劇場/ザムザ阿佐ヶ谷
公演日時/2022年7月23日(土)~25日(月)
詳細は公式HPをご覧ください→ http://tremendous.jp/carmilla2022/
ストーリー/
ローラと呼ばれる少女は一千年生きていた、生と死の中間の存在として。運命の恋人である女吸血鬼カーミラを復活させる為に。だが一人の吸血鬼ハンター(ヴァン・ヘルシング)が、彼女を殺そうと狙っているのだった__時空を超えた、少女同士の運命の恋が幕を開ける!

■TremendousCircusとは
トレメンドスサーカスは、ゴシックを着て、暗黒童話・怪奇幻想などを題材に、耽美派で頽廃的・中性的な、人の心の痛みを叫ぶ熱い演劇を創る、東京の劇団です。
詳しくは劇団HPをご覧ください→ http://tremendous.jp

◆以下の募集内容・方法をよくお読みの上ご応募下さい。
【募集内容】
出演者・劇団員

【資格】
・年齢・国籍・演劇経験不問
・18歳未満は親権者の同意が必要
・事務所所属者の場合は担当者の同意を得ること
・ノルマ無し。ギャランティ有、経験により金額応談。

【方法】
メールにて受付。
件名に『出演者募集/劇団員募集』のいずれかを明記し、以下の必要事項を全て記入して送信して下さい。

<必要事項>
・氏名
・年齢
・連絡先
・活動歴(ある場合)
・自己PR
・志望動機
・情報を見たメディア
・全身とバストアップの写真

【宛先・問い合わせ】
こちらのメールまで
kosoryodan@gmail.com

【締切】
2022年4月8日。

【選考の流れ】
書類審査・応募後3日以内に合否連絡

面接・実技オーディション
※2時間程度のオーディションを予定しています。
オーディション内容
演出家より挨拶、劇団員とウォームアップ、自己紹介スピーチ、台詞読み、劇団と詳しいスケジュールやギャランティについての説明、終わりの挨拶

【合格後】
・稽古、及び本番に参加する。
・稽古:新宿近辺の公民館やスタジオを予定。
※稽古場や劇場までの交通費は自己負担。
・稽古は平日18:00~、土日13:00~を予定しています。
・本番一か月前6月21日からのNGは原則無しでお願い致します。
(緊急オーディションなこともありますのですべての日程、時間において、不都合や別のお仕事等の関係で、ということで難しいことがありましたらしたらご相談下さい。できる限り対応したく思っております。)

【備考】選考に関わる審査料無し。交通費のみ自己負担。

◆皆様のご応募を心よりお待ち致しております。