雪白姫は、劇団の旗揚げ作品の再演です。
私たちは人の痛みを叫ぶような作品を作りたい。そう思ってこの作品を書いたことを覚えています。
自殺した友人のことを、上演中によく思い返していました。
客席にその姿を探しました。
いつも彼女は黄金色の光の姿で客席にいます。

彼女が死んだ後に、彼女が首を吊った部屋を、向かいのアパートの階段の踊り場からぼんやりと眺めたときのことも、たまに思い出します。
彼女の痕跡を探して、彼女のアパートの郵便受けにたまった手紙の宛先を確認したことを。
この世に彼女がいたのだと、その輪郭をなぞるように。

今回お客様の一人がずっと公演後号泣しておられました。
今の境遇に重なるところがある、とのことでした。
私たちは貴女の味方だと、応援していると、その為に芝居を作っていると、心から思います。

もちろんお客様に順番があるわけではないのです。
言葉少なながら、毎回来てくださるあなたの姿をいつも心よりありがたく思っています。

行き倒れるまで戦うこと、それが私がお客様に誓えること。
死力を尽くします。
またどうぞ宜しくお願い致します。

劇団TremendousCircus代表 田中円