Salome終演のご挨拶。作・演出 田中円

例えば動物映画を見て、劇中で動物が恋愛していた時には、一般的には動物に自分を重ねて感動したりするんじゃないかと思うんです。
今回Salomeでは作中で同性愛を主題として書いたんですが、私自身もLGBTであることもあって、動物映画のように一般の方であっても、自分を重ね合わせて感じてくださるのではないかと考えて劇作していました。
けれども、アンケートを読んで凄く感想として多かったのは、自分はLGBTではないけれども、興味深く見た、と言うものでした。
違うけれどもありのまま共感するのではなくて、動物園のガラスの向こうの動物を見るような感想が結構多かった気がしました。

これはお客様を批判しているつもりは無いんです。
きっとLGBTは動物映画のように自分と切り離してみることが出来るものではなくて
自分と違う異質な存在が何故か近くにいて不思議な行動をしている。どうしたらいいのかなぁ? みたいな見方なのかなと私はアンケートを読みながら感じていました。

私としてはそのガラスをぶち破れるようにこれからもLGBTに限らず、メンタルヘルスや、虐待、様々なマイノリティについての声を、エンターテインメントを通じて上げ続けていくつもりです。
そしていつか、互いに公平に手を握り合うことが出来たら、それこそがSalomeの言う平和なのだと感じます。

それまでどんなに孤独であっても
心は私達はいつもそばにいます。

本当にご来場ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。